最強CPU(Ryzen9 3950X)で最強パソコンを自作する:実装編

自宅で使っているWindowsのデスクトップパソコンの中身を16コア32スレッドのRyzen9 3950Xに交換しました。前回はOSの中身を新しいディスクにクローンしました。今回は実際にCPUとマザーボードを交換して、パソコン起動まで一気に行きます。クローン化したディスクを使用した起動は、最終的にはうまくいきましたが、ポン付けで動くわけでもなかったのでそこらへんも報告します。

今回の変更点をおさらいします。
解説
CPU Intel Core i7-4930K AMD Ryzen 9 3950X CPUの型番です。
ベースクロック 3.40 GHz 3.50 GHz 通常時の最大処理速度です。
ブースト時クロック 3.60 GHz 4.00 GHz 繁忙時の最大処理速度です。
TDP 130W 105W 消費電力と発熱の目安です。
メモリー DDR3-1800 DDR4-3600 使用するメモリーの世代と速度です。
PCIe世代とレーン数 3.0、40 4.0、20 周辺機器を接続する規格で速度が違います。
マザーボード ASUS ROG RAMPAGE IV GENE ASUS AMD AM4 ROG Strix X570-E パソコンのすべてのパーツを管理する機械です。
発売時期 2013秋 2019秋


1.CPUとマザーボードの取り付け


まずは交換前のパソコンの内観です。ケーブルを割と整理したつもりですが今見ると細かいところが汚いですね。ケース自体が大きいので、それでもスッキリした印象ではあります。



そして今回使うパーツがこちらです。


パーツ構成は前回紹介した通りですが、それに加えてMX-4というCPUサーマルグリスがあります。AMDのCPUはマザーボードへの固定が甘く、CPUクーラーとCPUが固着した状態でクーラーを外そうとするとCPUごと取れてしまう可能性があります。通常”スッポン”という現象ですが、マザーボード上でCPUの固定バーを下ろしたままCPUが強制的に引き抜かれるので、スッポン時にCPUのピンが折れる、または曲がる可能性があり、最悪の場合CPUが使用不可になります。

今回はRyzen9 3950Xという単体で700ドルする高級CPUを使うので、リスクを出来る限り減らそうと思います。基本的に、CPUクーラーとCPUが固着する原因はCPUのサーマルグリスです。商品によって粘度や性質が大きく異なり、モノによっては接着剤のように高確率でスッポンを引き起こすものもあります。3950Xでスッポンした方の記事もありますが、大抵はクーラー付属のグリスを使用していたことが原因です。3950Xにはクーラーは付属しませんが、それ以下の型番のCPUには”親切”にクーラーと添付済みのグリスがついてきます。そのグリスは冷却性能自体は良いのですが、冷えるととても固くなり、接地面積が大きいクーラーとCPU間で接着剤のようになってしまします。なので仮に付属クーラーを使うにしても、グリスだけは塗り替えるのが常識です。紹介した記事の方は無事に修復出来たようですが、一見CPUピンを直せても何故が起動しない、不安定になるなど不具合が起こる可能性があるのでまずはスッポンが起こらないように気をつけましょう。

今回使うMX-4は熱伝導率が高い、柔らかい、安いと三拍子揃っているほぼ完璧なグリスなので割と鉄板です。柔らかく固着しづらいグリスですが、それでもスッポンが100%防げるというわけではないので、注意は必要です。具体的なスッポンしにくいクーラーの外し方もこの記事の後半で紹介します。


まあ、とりあえずはパーツをサクサク交換してきましょう。
マザーボードの開封です。


CPUをマザーボードに設置します。作業のしやすさを考えてマザーボードはまだケースに設置しません。


メモリーをつけます。


写真撮り忘れましたが、この段階でSSD M.2も取り付けします。スロットが2つあるのですが、CPUに近いほうが優先です。
マザーボードをPCケースに設置しましょう。ケースが広いので特にパーツ干渉もなく収まります。電源ケーブルなどはまだ接続しません。



いよいよクーラー設置します。まずはグリスを塗ります。注意点としては、絶対に少なめに塗るようにしましょう。中央に米2粒分くらい乗せたら、あとはグリスについてくるヘラで引き伸ばします。X、中心盛り、5点盛りなど塗り方は色々あるのですが、いずれもヒートスプレッダー全体にキレイに広がらない可能性があり、全体に広げるために量を増やしてしまう方もいます。

量を増やすと押しつぶされた余分なグリスがCPUの横にはみ出てしまい、視覚的に汚いばかりでなく、仮にグリスが通電性のものであればCPUやマザーボードがショートし故障の原因になります。ヘラで伸ばす方式は、空気が入って冷却性能が下がるのではないかという懸念から避けられることがあるのですが、ある程度のクーラーには表面に空気抜き用の模様細工が施されているので杞憂であることが多いです。


仮にN点盛りをする場合は、CPUダイの場所に合わせてグリスを置きましょう。3950Xの場合は中心にはダイがないので、左上、右上、中央やや下に置くと全体にグリスを広げなくても効率的に熱を伝えられます。


最後にクーラーを設置します。クーラーを上から均等に押し付けて左右のネジを固定します。クーラー固定用のネジはバネが間に挟まっているので、強く押し回しましょう。でないとネジを締めているのに一向に締まらないということになります。写真では既にクーラーファンが設置されていますが、それはクーラーの固定が終わってから設置しましょう。

クーラーが設置できたらコード類を接続しましょう。具体的には、ケースのUSB3とUSB2、電源スイッチやディスクアクセスLED、ファン電源、マザーボード電源(24ピン、8ピン、4ピン)でしょうか。詳しくはマザーボードのマニュアルとケースのマニュアルを読み込んで、漏れがないようにしましょう。GPUもここで設置します。GPU用電源(8ピン+6ピン)も忘れず接続しましょう。


準備が出来たので起動しましょう。

2.初起動


起動したところです。無駄に光っています。


そのまま起動しただけではOSが立ち上がらず、UEFIで止まります。通常ではブートデバイスの互換モードがオフになっているので有効にします。UEFI上で、Bootの項目から、Boot\CSMの項目を選択します。デフォルトではLaunch CSMがDisableになっているのでEnableにします。そしてBoot from PCI-EをLegacyからUEFI Onlyにします。もしSSD M.2ではなく通常のハードディスクやSSDを使っている場合は、代わりにBoot from Storage DevicesをUEFI Onlyにします。


ついでにここでメモリーの動作周波数も調整します。写真は取り忘れましたが設定箇所はメインにあるのですぐに見つかります。今回はDDR4-3600という規格のメモリーを使っているので、3600MHzで動作するように設定します。デフォルト設定のAutoでは2166MHzで動作してしまうのでせっかく良いメモリーを使っているなら設定を忘れないようにしましょう。

ここまで終われば再起動します。無事に起動します。


さて、無事に起動したら、次はWindows10の認証をしましょう。設定から更新とセキュリティを選択し、ライセンス認証の項目を見ると、認証されていいないと表示されます。厳密にはこのままでも動くし、デメリットは個人設定が出来ないくらいらしいですが、せっかくライセンスがあるのでちゃんと設定します。中央のトラブルシューティングを開きます。


”このデバイス上のハードウェアを最近変更しました”を選択します。


普通ならこれで自動でやってくれるらしいのですが、なぜか認証サーバーに繋がらないといった旨が表示されてうまくいきません。マイクロソフトのサーバーが落ちているわけもないので、おそらくライセンスが良くないみたいです。


もともとこのパソコンのOSはDellのパソコンのWindows7がアップグレードされたものを延々とクローンしてきているものなので、パッケージ版でなくOEM版の、更にWindows7からのライセンスを通す必要があります。おそらくパッケージ版だとここで問題なく通り、OEM版だとWindows10もしくはWindows7時の元々のライセンスを入力する必要があるのです。以下のシールがパソコンに貼ってあるのを見覚えあると思いますが、ケースを交換する場合は絶対に写真に撮るなどで古いケースに付いているプロダクトキーを残しておきましょう。Windows7時のプロダクトキーはWindows10にアップグレードしたときにOS内部で変更になり、参照できなくなります。今回のような再認証時に元々のキーが必要になるので気をつけましょう。


先程のライセンス認証のページの一番下に、プロダクトキーの変更という項目があるので、そこでオリジナルのプロダクトキーを入力すると、無事に通りました。



3.ベンチマーク


さて、設置したCPUがちゃんと動くかベンチマークで確かめます。3DMarkのTime Spyが無料なのでこれを使います。Time Spyは10コア以上だと実際よりも低く出てしまうという話もあるのですが、傾向が知りたいだけなので問題ありません。

これがCPU換装前です。
Graphics Score: 9886, CPU score: 5196


そしてこれが換装後です。CPUスコアは倍になり、1万を超えました。しかしながら、ネットで上がっている空冷のスコアからは少し低いなという印象です。
Graphics Score: 9856, CPU score: 10663


スコアが伸びない原因として、クーラー設置時に手間取ったのでグリスが塗り直したほうがいいかなと思ったのですが、タスクマネージャーを見ていたらメモリーが低速で動いているのに気づきました。先述の通りUEFIに戻ってメモリーの速度を3600MHzのオーバークロック状態で固定します。その後再度測りましたところ、無事にスコアが2000以上上がりました。
Graphics Score: 9881, CPU score: 12763



4.サーマルシート


さて、通常はこれで完了ですが、今頃になって注文していたサーマルシートが届いたので、使おうと思います。サーマルシート(熱伝導シート)はグリスの代わりに使える、熱伝導率が高い素材のシートです。シートなのでグリスのように塗りミスがなく、再利用もできるので、一枚あたり単価は高いですが長期的には経済的です。グリスは長期間使うと水分が抜けてカリカリになって熱伝導性能が落ちるので、定期的な塗り直しが必要になりますが、シートの場合は変質しないのでメンテナンスがいりません。

今回使用したのはこちらのシートです。



ある程度厚みがあるので持ったときにしっかりしています。”熊シート”と呼ばれる他社製品もあるのですが、フィルムのように薄すぎて設置時に破れるという話を聞いたので今回はこちらを使いました。


クーラーを外す前に、スッポンを避けるためにCPUを温めます。ベンチマークでもいいですが、今回はCPU-Zのストレステストを使いました。”Stress CPU”を押して1分ほど待ち、止めたらすぐにPCの電源を切ります。


クーラーを上から押さえつけながら、クーラー固定のネジを緩めます。ネジが外れたら、押し付けたまま軽くひねって固着を解きます。今回は新しいかつ柔らかいグリスなのでスッポンの気配もなく素直に取れました。クーラーを見てみるとグリスがついていますが、はみ出しもなくキレイに塗れています。しかし前回少なめに塗ったつもりですがもう少し減らしても良いのかもしれません。


CPU側も見せます。


今回はサーマルシートを使うので、現在付いているグリスを拭き取ります。傷つかないように柔らかくケバのでないキムワイプなどの布で拭き取りましょう。拭き取るときは周囲にゴミがつかないように、マスキングテープでカバーします。


クーラーもキレイに拭き取れました。


CPUにサーマルシートを乗せたところです。


シートが移動しないように上から慎重にクーラーを乗せてネジで固定します。


再度組み立て直して、Time Spyを走らせたところ、GraphicsとCPUのスコアが両方若干上がりました。アイドル時のCPU温度も60度から5度下がって55度くらいで推移するようになりました。グリスの方もある程度時間が立ったほうが性能が出るという話もありますが、なにが原因でグリスのパフォーマンスが低いのかはわかりません。一方、サーマルシートだと塗りの失敗がないので、今回のスコアが誰でも出る最高値で今後も変化しないと考えると精神的にも安心です。
Graphics Score: 9936, CPU score: 12967



5.まとめ


2回に渡ってRyzen9 3950Xへの換装を記事にしました。個人用で手に入るレベルのほぼ最高の環境が手軽かつ安価で手に入る、パソコン好きにはいい時代になりましたね。せっかくいいCPUを使っているので、これからは動画編集などでエンコーディングをしながら通常の作業をしたりなど、重い作業を同時にこなすなどで活用していこうと思います。

個人的には、以前から気になっていたサーマルシートを実際に試すことが出来たので知的好奇心が満たせて満足しています。


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